【ツイタチ選】Aメロのコード進行が秀逸なJ-POPの名曲・9選

「Aメロ。それは音楽の前戯。イントロが挨拶ならばAメロはつまり、キスである。」

と小泉チルドレンのハゲたおっさんが言ってました。僕もそう思います。

という訳で『Aメロのコード進行が秀逸なJ-POPの名曲』を9曲集めました。判断ポイントは、

  • 団体戦の『先鋒』ではなく『主将』並みに楽曲の顔であること
  • 1番マートンのような存在であること
  • 楽曲全体の印象を決めるインパクトがあること
  • プロの技巧が凝縮されており、演奏していて楽しいこと
  • 選んだ9曲はこれらのポイントを全て偏差値7億を突破するレベルのクレイジーセンス。

    紹介に際して

    音源は全てYouTubeからの引用です。なるべくオフィシャルのもの、ライセンスの出所が判別できるものを選択しました。
         

  • コードは全てKey = Cに統一して表示
  • アーティストごとに1曲
  • 完全に主観
  • コードは耳コピなので間違いがあるかもごめんね
  • 個人的に好きなところを太文字にしたよ
  • ではどうぞ!!!

    大きな玉ねぎの下で – 爆風スランプ

    「千鳥ヶ淵」「ペンフレンド」「玉ねぎ」というクセがある日本語をJ-POPとして見事に調和させた珠玉の名バラード。作詞はサンプラザ中野。

    C Em7 – Am7 C7 – F F#dim – Gm7 C#dim – Dm7 – G#dim
    C/G – Am7 – Dm7 – G7 – C

    3種類のディミニッシュコードがAメロ内に林立する印象的なフレーズ。AメロのみならずBメロやサビまで完璧なコードワーク。作曲者=嶋田陽一氏、天才。

    『ペンフレンド』という聴き慣れない単語、というかこの曲以外で耳にしたことがないほどレアな語句であるフレーズがこの曲の顔にして主将。1番マートンどころかブラゼルレベルの存在感。

    この記事の主軸ではない『歌詞とコードワークの濃厚な絡み合い』について思わず語ってしまうほどの完成度。Aメロがいかに素晴らしいかだけで午前中は喋り尽くすことができる。

    G#dim以降『C/G – Am7 – Dm7 – G7 – C』などの使い古されたコードワークすら美しくなるトリック。エグい。

    自転車でおいで – 矢野顕子 feat. 佐野元春

    佐野元春と矢野顕子のデュエットソング。「○月×日 雨のちくもり」という不思議な歌い出しから始まる詞は糸井重里作。

    CM7 – Gm9 C9 – FM7 – Am7 Em7 – Bm7 F#m7 – FM7 – Dm7 – E7sus4 – FM7/G

     
    初見だと「CM7か、ふむふむなるほど」「Gm9?突然?」「Bm7???F#m7?????????」と間違いなくパニックを起こすコード進行。作曲者は矢野顕子氏。そりゃこうなるわ、と思う。

    Aメロを抜けるとお茶休憩のような奇妙な間奏、ツマのようなBメロ、転調を迎えたあとのサビはまるで大トロ。15,000円大将お任せコースのような見事なつながりを味わえる『作曲家=矢野顕子』のセンスが凝縮された楽曲。個人的には『ひとつだけ』以上のコードワークだと思う。

    原曲キーだと佐野元春パートの音域が低すぎて歌えない。

    SOMEDAY – 佐野元春

    佐野元春といえば『SOMEDAY』、『SOMEDAY』といえば佐野元春。

    「20代には20代の、30代には30代の、40代には、そして50代にも、それぞれに『いつかきっと』があるんじゃないか、と思う」(意訳)という名スピーチとともにこの世に投げ出された巨大なエネルギーの塊である『SOMEDAY』。どんな時でも頑張っている人たちの味方でいてくれた、そんな曲。

    C – Em7 – F – E7sus4 E7 – F – FM7 – Em7 – Am7 – Dm7 – Dm7 – G7 – G7

    難しいコードは一切なし。シンプルでありながら洗練されたコードワーク。心がグッと掴まれるポイントは『E7sus4 → E7 → F → FM7』の流れ。

    この『FM7』と共に主旋メロディを含んだ弦楽器が、壁のように同じメロディを畳み掛けてくる印象的なフレーズが『SOMEDAY』の肝。汗と涙が混じったような、巨大なビッグウェーブが俺には見える。

    その波に乗せられた「誰にも従わず 傷の手当てもせず ただ 時の流れに身を委ねて」のリリックに何度も助けられてきた。

    安らげる場所 – Mr.Children

    絶対Aメロで泣かすおじさんことMr.Childrenからのナンバーはアルバム『Q』から『安らげる場所』。

    C G/C – E7 Am7 – Bb Bb/C – FM7 – Fm7 CM7 – Dm7-5 CM7 – Dm7 – G7 G7aug
    C G/C – E7 Am7 – Bb Bb/C – FM7 – Em7 A7 – Dm7 G7sus4 – C9

    Aメロで『山場』を持ってくる達人の桜井和寿氏。『Bb』『Bb/C』の使い方が巧みでうっとりとする。コードやメロディが持つ『憂い』や『寂しさ』と歌詞の内容である主人公の『想い』が表裏一体する気持ちよさ。

    凡人作曲家が一生のうちに1曲産み出せるレベルのクオリティをコンスタントに世に投げ出し続ける作曲家=桜井和寿のセンスが凝縮されたAメロ。

    オリビアを聴きながら – 杏里

    杏里の代表曲『オリビアを聴きながら』のAメロは今や鉄板中の鉄板コードになりつつあるが、この曲ほど歌詞とメロディにマッチした楽曲は存在しない。作曲家は尾崎亜美氏。

    C – Em7 – Gm7 A7 – Dm7 – Fm Bb7 – EbM7 – D7 – G7

    Key=Cのコードワークにしら〜っと「EbM7』や『Bb7』が侵入している。日常の中に突然訪れる「不幸の誘い」「突然の憂鬱」を見事に表現している名曲。

    しあわせの保護色 – 乃木坂46

    ゴールデン番組で必死に爪痕を残す若手芸人のように「耳に残る」が命であるアイドルソングは突然の転調や高低差が激しいメロディーで「我ここにあり!!!」とめちゃくちゃ主張してくるのがセオリー。

    その結果「揚げパンカツカレー大福」のような、食うに耐えない高カロリー曲になってしまうのがオチである。

    が、この『しあわせの保護色』は意味不明。まずはAメロのコード進行を見て欲しい。

    C – G7 – F – C
    C – G7 – F – C

    「は?やる気ねえだろ」と思うほどひねりのないコード。音数が一汁一菜。

    というか「小細工やスキル、技巧など不要です。なぜなら乃木坂46ですから」

    という王者の余裕すら感じる圧倒感。忌野清志郎が「コードは少なければ少ないほどいい」と語っていたが、まさにそんな感じ。ちなみにイントロからラストサビまでめちゃシンプルなコードだけ。和食のようなアイドルソング。ホント好き。

    乃木坂46の入来祐作レベルの中心人物が卒業するシングル曲という重要な位置づけらしい楽曲に『超余裕感』を存分に醸し出した『しあわせの保護色』はすごい。作曲者はMASANORI URA氏。

    next door – ASKA

    「ポップソング・ライティングを極めたい」と親戚の子供が訪ねてきたら「とりあえずASKAを全部聴け」と言う。特にズバ抜けて楽曲全体のコードワークが素晴らしい『next door』のAメロは、

    Em7/A – Dm7/G
    Em7/A – Dm7/G

    たった2つだけ。このたった2つのコードにASKAの全てが凝縮している気がする。記事冒頭で『Key = Cで統一』とルール設定したが、この曲のAメロのKeyが全くわからない。なぜならコードが2つだけだから。監督とセンターだけじゃ何のスポーツかわからないのと一緒。

    ただ、本当にこの曲はすごい。Bメロとサビの調和がエグい。人生が変わる1日ってのが誰でもあると思うんだけど、それを表現したような曲。

    エイリアンズ – キリンジ

    バカみたいにおしゃれなコードが続く10月32日のような曲『エイリアンズ』は作曲=堀込泰行氏。

    Am7 – Dm7 Em7 – Am7 C7 – FM7 Em7 Ebm7 – Dm7 – Em7 Eaug – Am7 – Am7 Bb7
    Am7 – Dm7 Em7 – Am7 C7 – FM7 Em7 Ebm7 – Dm7 – Em7 Eaug – Am7 – Am7 A7

    とにかく手数が多い。そして音数も抜群に多い。だからこそ演奏の楽しみが倍増する。このAメロは本当に気持ちがいい。この曲を聴くたびにプロってすげえなってつくづく思う。

    すべての悲しみにさよならするために – KAN

    ラストの『すべての悲しみにさよならするために』はKANの壮大なピアノロックバラード。防災セットのように『ポップソングに必要なもの』はこの曲からすべて学ぶことができる、そんな曲。

    C – G/B – Bb A7 – Dm7 Fm – C/G Am7 – C/G G#dim – Am7 Bb – F/A F/G – C F/C – G/C F/C

    少しでも楽器を弾いたことがある人ならAメロ冒頭の『C – G/B – Bb A7 』だけで「なんだかオラ ワクワクすっぞ」となるはずである。

    まとめ

    というわけで9曲触れました。プロはすげえ、そしてカッコいい。

    最近「5秒で作曲ができます」とか「即興でメロディを〜」とかいう浅ましい奴らが評価を受けている世の中だけど、聴いてみれば何のこっちゃねえカップ麺をそのまま提供しているラーメン屋みたいな音楽だったりする。

    情報を聴くな、音楽を聴こう。以上。

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