無印良品のレジに並んでたら、突然少女に割り込まれたときの話 〜マナーレイプってあるよね

表題のとおりです

レジに並んでいたら 女の子に割り込まれた という話です

ですがぼくは怒ってるわけではないのです ただ ぼくは抜かされたときに自分自身が取った行動について考えなければいけなかったのです

ぼくは無印良品のスポンジ(泡切れがよく、とても気に入っているのです)を手に持ち 反対側の手にはメッセンジャーアプリが4G回線でダウンロードされているスマホを持ち 進捗状況をチロチロと眺めながら 会計の順番を待っていました

背が高いお綺麗な女性がレジのテーブルにもたれかかっておりました これまた端正な顔立ちの女の子がレジを打っていまして できるならばそれはそれは 永遠に眺めていたいと思う光景でした

日曜日の夜ということもあり 開けられているレジはひとつです

会計が終わる頃というのは その会話が聴こえなくても 分かるというものです

店員の所作 客の所作 お金の音 感熱タイプのレシートが温められるときの匂い

ぼくの番だな そう思った瞬間 その子はやって参りました

意気揚々としながら あと少しの事務的な手続きを終えれば自分のモノになるであろう色鉛筆を 女性がもたれかかってたテーブルに その子は置きました

その女性は その子と その手に握られている色鉛筆を 突然飛んできたカナブンを見るような目で見ていました

その瞬間 カナブンを追いかけてきた男性が

「お兄さんが先だよ」

と言いました ぼくは咄嗟に その男性の顔を見ました

見たことのない顔でしたが その男性が クーピーペンシルの社長ではなく お父さんであることがわかりました

「先 いいですよ〜」

いま思えば 自分でも驚くくらいに丁寧な発音でした そして きっとぎこちないながらも日の丸弁当における柴漬け程度の笑顔も添えることができたとおもいます

「すいません ありがとうございます。。」

静かに会計を済ませませたのは その女性でした 飛んできたのはカナブンでなはく我が娘だったことを確認して エレガンスな財布を開けようとしています

愛する我が子がイエローカードレベルのマナー違反を目の前で犯したことに対する責任と恥ずかしさを感じていたのでしょうか

父母の背中からは「2,3本後で折ったるわ」と言わんばかりの怒りのような悔しさのような感情を感じることができました

「ほら お兄さんにありがとうと言うんだよ」

斜め60度くらいの角度から浴びる優しい声のシャワーにその少女は繰り返し

「ありがとうございました!」と言っています ハキハキと嬉しそうな表情です

「ありがとうございました!」何度も繰り返し言っています すべて店員に向けてですが

そりゃそうです 色鉛筆が自分のモノになったのは お父さんとお母さん そして美人な店員さんのお陰ですから ぼくの存在など柴漬けですから

さてぼくは考えました この子にとってぼくが取るべき最善の行動は どうあるべきだったでしょうか

おそらく「先 いいですよ」という優しさの切り売りは教育的観点からは間違っているようにおもいます

3歳でも4歳でも 何歳でもいいのですが 子どもは親や親族そして学校の教員や習い事の先生以外の大人に触れる機会がほとんどありません つまりマナーや常識に触れる際 必ず大人と一緒ということになります

レジの並び方ひとつ 子どもはわからないでしょう そもそもレジの役割も知らないでしょうから

そのためレジに並ぶという行為が その子にとっては重要な そして貴重な教育機会だったと思うのです

横入りせず 列の最後尾から並ぶ というレジにおけるマナー

その子にとって 色鉛筆の購入はそのマナーを学ぶ絶好の機会でした

どうすればよかったのかを考える

ぼくは「ありがとうございました!」という言葉をもらうために先を譲ったことになりますが “レジに並ぶ”というマナーを学ぶ機会を奪ってしまいました

もっとも その「ありがとうございました!」すら僕は受け取っていないので

ただ その少女の学習機会を奪う マナーレイプとでもいいましょうか そういう国ならば死刑です

お父さんが「お兄さんが先だよ」と言ったとき ぼくはただ 小さく頷き 片手に持ったスマホのダウンロード進捗画面を気にすればよかったのです

なんならポケットからハーモニカを取り出し ボブディランよろしくカントリーのフレーズをピロピロ吹いてもよかったでしょう

ともかく 怖いのは 善の切り売りで教育機会を奪ってしまうということです

”優しいお兄さん“的な行動も全うだし 粋だし シュッとしてます

しかし もっと大きな視野を持って考えるなら 必要だったのは ハーモニカです

無印良品にハーモニカが置いてなかったのが全ての過ちの発端でしょう

なにこのオチ

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